君の手のひらの怪文書

とある百合厨のうわ言

限界ちなすずオタクによるOP歌詞解釈

はじめに

 とうとうLostorageの主題歌CDが発売になりましたね。というわけで、この記事は作品の主題歌をちなすず暴走オタクである私の都合のいいように解釈しようという試みです。

 私は当時を知りませんが、エヴァンゲリオン大考察時代にはOPの歌詞から作品のメッセージや先の展開を読み解こうとする試みもあったそうです。まあ、そういうことを大真面目にやると失敗するのは明らかなんですが、与太として「こんな風にも解釈できるよね〜〜〜!!!」と盛り上がるのは楽しいだろうなと思ったのであえてやることにしました。

 とりあえず本記事ではOPの方を解釈していこうと思います。

1.前提

 先日発表された井口裕香さんのインタビュー(https://www.barks.jp/news/?id=1000133757)では、「歌うときはキャラソンにならないようにっていうのを意識しながらレコーディングしました」「歌詞は、私が演じる森川千夏、その親友の穂村すず子、どちらの視点からも受け取れるんです」と述べられているのですが、この記事はガンガン恣意的な解釈をやっていくぞという意志のもとで書かれているので、「Lostorage」は森川千夏の歌だというスタンスを貫いていくつもりです。

 というか前作劇場版の『selector destructed WIXOSS』の主題歌である「Love your enemies」も、劇場版パンフレットの分島花音さんのインタビューによれば「るうちゃんは敵も味方も助けるという博愛的な考えを持った子なので、そういう想いをリンクさせるつもりで歌っています」ということなんですが、実際に劇場アニメ本編を見た上で聞くと「どっからどう聞いても五十嵐留未視点の曲じゃねーーーか!!!!!」となったので、公式解釈とのズレを認識しつつ独自の解釈を突き進んでいった方が、自分一人で楽しむにはちょうどいいんじゃないかなと思った次第です。

2.解釈

 ここからやっと歌詞解釈のターンです。ぶっちゃけ歌詞一つ一つ全部引用して逐一コメントしていきたいんですが、著作権的なアレでよろしくない可能性もあるので(こんな辺境のブログは気にも留められないと思いますが……)引用は必要最小限に留めておきたいと思います。

 まず歌詞の冒頭、「born→memory」から始まるのですが、これは直球でルリグ誕生のことを指していると思います。続く「 全てが生まれ 全てを消して 全てを超えて」は、「ルリグの全ては記憶から生まれる」「セレクターバトルが敗北者の記憶を全て消す」「穂村すず子/森川千夏がセレクターシステム(=ゲームの全て)の思惑を超えた振る舞いをしてついにはシステムを瓦解させる」という風に解釈しておきます。要するに、この辺は『Lostorage incited WIXOSS』の物語の概略を述べている部分だという解釈です。

 この次に「私」という一人称が現れますが、1で述べたように、この「私」は森川千夏であるという解釈を最後まで貫きます。「私を組み立てる記憶」というのは、一般論として考えると「人格は蓄積された記憶から生じる」ということを指しているように思われますが、森川千夏個人に限って言えば「穂村すず子に関わる記憶」という限定的な範囲を指していると考えられます。この「記憶」が「叫んでいる」というのは、2話の展開を踏まえると「消してはいけない」という心の叫びだと解釈できます。

 森川千夏はおそらく2話で穂村すず子の記憶を消すことを決心したと思われるのですが、彼女の場合は愛が憎悪に反転したタイプなので、憎悪に変わりきれなかった愛情が必ずどこかに残っているはずなのです。その愛情がこの先どのように呼び醒まされるのか想像するだけで悪い笑顔になってしまうのですが、それはともかく、ここでは「森川千夏の中の穂村すず子の記憶」が擬人化されて「私を消してはいけない」と叫んでいるということです。(そういう解釈の漫画描いたな……)

 冒頭のサビが終わった後のAメロ部分に行きます。ここの解釈は散々ツイッターで喚いたんですが、完全に2話以降の森川千夏とシンクロしています。ここでいう「信じてたもの 迷子になったとは、もちろん「自分の生きる指針がわからなくなってしまった」ということだと思います。いや改めて本当に凄いですね……森川千夏にとっては穂村すず子が生きる指針そのものだったんだなあ……。ティザーPVの「自分の思うままに生きる」ってセリフを確認したときも「お前今まですず子の期待に沿うことだけを考えて生きてきたって認めちゃうの!!?そんな人間が自由を手に入れたところで何もないからっぽになるだけだと思うけど!!!??!?」とひどく驚きました。プライドが高い森川千夏にどうやって「私は穂村すず子がどうしようもなく好き」だというところまで認めさせるつもりなんでしょうか……。

 続いてBメロです。ここは単純に何がしたいのか何が起こるのかわからないセレクターシステムに乗っかってしまっていいのかという不安だと捉えられますが、同時に「本当に穂村すず子を忘れてしまっていいのか?」という千夏の迷いを歌っていると捉えるといい感じです。本編でも森川千夏の迷いや躊躇いが描写されるのかと思うと極悪人みたいな笑顔になります。そうした迷いを「夢の中で幼少期の穂村すず子の首を絞める森川千夏」として描写した漫画を描いたのですが、本編でもっとすごいことやってくれないかな……とソワソワしています。「過去も未来も探してる」のあたりなんか、過去に囚われて未来が見えなくなっている千夏にぴったりの歌詞ですね。

 再びサビに入ります。「会えたらいいね あの日の笑顔 あの約束 繰り返す日常の中 ノイズに巻かれ歪んでく」はまさに森川千夏!といった感じです。すず子との楽しかった思い出、ずっと一緒だよという再会の約束、その全てが会えないでいた日々のなかで歪み、森川千夏を縛る鎖となってしまった……ということでしょう。

 さらに続く「まだ解らない まだ求めたい まだ失くせない」は、森川千夏のみならずセレクター全員の心の叫びだと捉えたほうが収まりが良さそうです。「この先どうなるのかわからない」「セレクターバトルを勝ち抜いた先の報酬を求めて戦いたい」「大切な記憶を失くすわけにはいかない」という感じでしょうか。

 また、全体に散りばめられた「迷子」「彷徨う」「迷路」などといった表現は、森川千夏個人の生き方にも当てはまりますし、各セレクターそれぞれがシステムに翻弄される様を歌っているとも解釈できるので、深読み大好き太郎にとってはとてもGOODです。

 ここから2番に入ります。「小さな想い出も手の平の中 色あせてゆく」というのは直球で黒ずむコインのことを指してますね。手の平を開けばすぐにコインの様子をチェックできるハイテクシステムですが、もっとマシなことに使えやという気持ちにしかなりません。コインが全て黒くなればゲームから脱落して「森川千夏」は死んだも同然になるわけですから「止めて!」となるのは当然なんですが、それだけではなく実はすず子の記憶が薄れることに対しても恐怖感を抱いてくれてたらめっちゃ楽しいです。負けてコインが黒くなり、すず子の記憶がまた曖昧になった千夏が「いや……!やめて、消さないで……!」と震えだすシーンとかあったらテレビの前でガッツポーズキメると思います。

 Bメロです。ここはもう本当に聞いた瞬間森川千夏!!!!!と叫ぶ寸前でした。

 「希望? THE END? 答えて 手放していいの? 過去に繋がれ 動けない…

 もう説明しなくていいんじゃないのってくらい森川千夏です。「本当にすず子の記憶を手放すことが希望なのか?それともそれこそが全ての終わり(=絶望)なのか?」と自問自答する千夏の姿が目に浮かびます。ていうかやはりちなすずの関係は鎖に喩えられるものなんでしょうか。最高ですね。

 次はCメロです。ここは歌詞の雰囲気も違います。最初の繰り返し部分で何気に韻を踏んでるのでラップ調なんでしょうか。韻を踏んでいる部分は記憶の伝達、あるいは忘却のイメージを歌っているように感じました。最後の節はそこから飛躍して「生キルッテ孤独ナ play?」と〆ています。ここも果てしなく森川千夏ですね……。"play"っていうのはウィクロス(ゲーム)をプレイするというところに掛けているのだと思いますが、ウィクロスは対戦ゲームだし人生も(嫌でも)他人との関わりを欠くことのできないものだよ……。大体お前には穂村すず子がいるだろうが……。孤独じゃないじゃん……。

 Cメロの後半に行きます。この辺から歌詞が能動的になります。今まではシステムに翻弄されていただけでしたが、ここでは「誰かが仕掛けた罠にdive」など、罠だと知りつつも立ち向かっていく姿が描かれます。本編の森川もこの歌詞のように前向きにクソシステムへと立ち向かっていくのでしょうか……。システムに利用されてラスボス化の線も濃厚なので油断できません。

 そしてラスサビに入ります。歌詞は1番最後のサビ+冒頭のサビといった感じでほぼ変わりませんが、繋ぎの部分が見過ごせません。

 「彷徨う記憶の途中で 何かに出会い 積み上げる

 この「何か」に対応するものに本編の森川千夏が出会ったとき、私はマジで泣くかもしれない。

 ここで言う「何か」ってのは「なぜ森川千夏は穂村すず子が好きなのか?」に対する答えだと思うんですよね。私としては「理由のない好き」概念が大好きなので森川→穂村の感情に明確な理由がなくても構わないんですが、それだと『Lostorage incited WIXOSS』という物語の強度が下がってしまう気がするんですよ。だっていかにして森川千夏と穂村すず子の関係が再構築されるのかっていうのがこの作品の何よりの肝なわけですし、そうなると「なぜ森川千夏は穂村すず子に執着するのか?」という部分に対する答えと、そこから生まれる問題をいい感じに解決する手段の両方を提示しないと収まりが悪いんですよね。まあ私は作品のオチのつけ方に対して理詰めよりもエモーショナルを優先して評価するところがあるのでよっぽどはずさない限り「感動〜〜〜〜〜!!!!!」っつって泣くと思いますが、その辺の理屈もしっかりしてくれたら文句ないです。

 サビが終わった後にCメロの韻踏み部分が繰り返されるのですが、完全に同じ繰り返しなので割愛します。(本当は歌詞の構成とかメロディーの組み立てなどを合わせて解釈するともっと面白いものが出てくると思うのですが、あいにく音楽方面の教養が皆無なので出来ません。そういうのに詳しい方がいらっしゃいましたら私の代わりにブログに自説をまとめてください。) 

 それと、ちょくちょく挿入される「<find my real>」という囁きですが、「私の本当を見つける」ってこれまためちゃくちゃ森川千夏に聞かせたいフレーズですね。お前の本当の気持ちは「すず子の記憶を消したい」じゃないでしょ?????って詰め寄りたい。

 終わりに

 知ってましたかみなさん。これを書いてる時点でなんとまだLostorage incited WIXOSSは3話までしか放送されていません。それなのにこの盛り上がり様です。なんか普通に滑稽なオタクですが、我に返ったら負けなので、必死にちなすずオタクとして爆走していきたいと思います。私の走った後ろに道は出来る!!!まあそんな感じです。ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。